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NDS『ゼノサーガI・II』 原案・監修高橋氏・脚本竹田氏スペシャル対談!(後編)

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―――具体的にお話の流れなどはどうなっていますか?

竹田:I 部分はこの物語の根幹なので、大きくは手を加えていません。終盤の方で、PS2版では天の車とネピリムの歌声が別々のマップですが、これが一緒になっているといった違いはありますが。

高橋:原案では天の車と歌声はセットのままだったんですよ。I のアルベドのセリフにもあるように、あれは元々天の車と歌声そしてゾハルで1つの装置なのですが、ゾハルは旧ミルチアにあるのでさておき、I ではゲーム性や演出面を考慮して天の車と歌声を別々に分けたんです。こういう箇所は多々ありますが、ハードの特性やシナリオに合わせた上で、変更することもあれば、原案通りで行くこともあります。I ・II ではここは原案に戻したとも言えますね。

―――IIでは、まず十四年前のエピソードから開始しますが、I・IIでは?

高橋:1本の物語であることを重要視していますので、そこを挟まずに続いていきます。ただし、十四年前の部分もシナリオ的には削らず、補完した上で入れています。

―――IとIIを繋げることは難しかったですか?

竹田:難しかったですね。僕もいろいろな方法を考えましたが、高橋さんの原案に沿いながら、II で活躍するキャラクターの登場を早いうちから少しずつ盛り込むなどして自然な流れに持っていきました。

高橋:移民船団の教皇も早い段階で登場しますしね。

―――特にII部分はかなり変わったとか?

竹田:シオン視点で書き直すと、特にII 関連の部分に関しては大きく変えざるを得ませんでした。

高橋:ベタに移植するとI 部分の要素が6〜7割、II が3割位になってバランス的にもよくないですしね。

竹田:トータルするとII の部分の方が若干多いくらいになりましたね。

高橋:長い話なので視点の統一は大事ですし、シオンに視点の主軸を変えることでJr.の視点ではわからなかった部分も見えるわけですから増えますよね。もちろんこれから出る「ゼノサーガ エピソードIII 」(以後III )とも相違なく等々、リクエストも多くて大変だったと思います。

竹田:「基本は移植でいいかな?」と思っていたのですが、「これはもうリメイクだ!」と。ちょっと…いや、かなりダマされました(苦笑)。

高橋:ダマしたつもりはなかったんですが(苦笑)、申し訳ないです。

―――要望は大変多かったようですが、竹田さんからの希望はあったんでしょうか?

竹田:僕はロボット物が好きでそれを見て育ってきましたし、今もロボットアニメの仕事が多いこともあり、後半部分に登場するE.S.の存在の凄さを強調したいと思いました。E.S.同士の対峙シーンとか、自分でも見たかったので。あとは、II のラストでケイオスの「僕はもう迷わない」という格好良いセリフがあるんですが、そこに至るまで、ケイオスがなぜ迷い、何を見て、どこで決断してそのセリフに至るのかをきちんと描きたいという希望も快諾して頂きました。

III の台本やシリーズの根幹設定といった資料を読んで打ち合わせをしつつ、短いモノローグやヴィルヘルムとの水面下での駆け引き的場面で心情の変化がわかるよう盛り込んでいったつもりです。
後は、移民船団やザルヴァートルの重要性を出したいと。
これはパイドパイパー(http://www.namco.co.jp/mobile/vodafone/xenosaga/)やIII の脚本を読んで、ぜひアピールしたいと感じました。

高橋:II の原案は大きく分けて3つのモジュールに分かれていて、II で描かれた部分が1つ、描かれていない部分のうちの1つはIII に入っています。もう1つはパイドパイパーで、これはジギーの物語であると同時にザルヴァートルや移民船団などを知る上でも重要なお話です。詳細はそれをプレイして頂くとして、先ほど竹田さんが仰ったように教皇を早い段階で出して、出来る限り移民船団についての情報も盛り込んで貰いました。

竹田:で、ザルヴァートルについてはピエール・リューリックが語ると。

高橋:原案ではザルヴァートルの議員その1といった名もないキャラクターで、重要度自体はかなり低いんですが(笑)。

竹田:確かにメインストーリーに関わる度合いは低いですが(笑)ストーリーをうまく繋げていきつつ、ザルヴァートルを語るという、結構大事な役目は担っています。

高橋:成長したシトリンも、ザルヴァートル絡みを語る上で重要なキャラになっていますね。

原案ではII でもっと登場するはずだったのですが、諸事情でカットせざるを得ず、III でも登場はするのですが、彼女が成人する課程の物語であるとか、ディミトリの束縛から解放されて後、一般人として家庭を持っていたとか、そういったバックボーンの部分は割愛し、他に解決しなくてはならない主軸の物語の方に注力しています。竹田さんがその辺りをうまく汲んでくださって、今回登場させる際にIII とシームレスにリンク出来るよう上手に補完してくれました。

竹田:そこ以外にもIII に自然に繋がるよう、意識した部分は多いですね。

―――リヒャルトやヘルマンも絵が登場しましたね。

竹田:ドラマCDでは、打ち合わせの時にこのキャラクター達はII で登場すると伺って、登場させたんですよね。

高橋:ただ、どうしてもメインキャラ関係のエピソードの制作が優先しますので、II では時間的にグラフィック制作が見送られてしまった。ちょっと不遇な二人です。

竹田:竹内さんに表情を描いて頂いて、これまたゼノサーガの世界をよく知っている大河さんに(ビジュアルシーン演出担当)に衣装を考案して頂いて。リヒャルトは、Jr.にとってアルベドとは違う意味で好敵手という設定と伺ったので、Jr.の外見年齢と同じ位の歳なんです。ヘルマンは、軍人時代はマシューズの部下という設定なので少し年齢を上げて。

高橋:ドラマCDの時に僕や竹田さんが思い描いていたイメージを、竹内さんにうまく表現して頂けたと思います。

――――竹田さんがかなりお好きだというバージルやアンドリューも活躍していますね。

竹田:III プレイ後にその意図がもっとよくわかると思うんですが、シオン視点で書いていくとバージルの重要度はかなり上がりますので、登場する場面も増やしました。アンドリューはほぼI をベースにしましたが、彼個人の年表(※これもY資料の断片の1つ)を頂いたのでそれを参考に補完した位ですね。

高橋:でも、アンドリューのバストショットの量はPCキャラ級です(笑)。これは制作現場のこだわりもあったように思いますね。

―――他に注目すべきシーンなどは?

竹田:サクラの死の場面も詳しく書きました(※サクラの死亡理由には諸説あるが、公式設定としては明かされていない)。それがルベドとアルベドに与えた影響もその後のシナリオに反映していきましたよね。

高橋:ええ。彼らの関係や行動の理由もずいぶんわかりやすくしていただけたと思います。

竹田:アレンくんの格好良さも出来る限り書きたいと思いました。彼はルックスも悪くないし、実家も裕福で、一流企業の重要なポストにいて……、普通考えたらスゴイ人なんですけど、あのキャラクター達の中にいるからドジ系に見えてしまうだけなんですよね。

―――とにかくシナリオの量は半端でないということですね。

竹田:そうなんですよ(笑)。I やII になかったシオンやアレンのヴェクター入社時、シオンとケビンの恋の始まり、シオンがメガネをかけたキッカケ、アルベドとキルシュヴァッサーの出会い等々もありますし。どれも頂いた原案やセリフ部分を大事に、1つのお話として完成させていきました。

高橋:マップとしては削減している場所もありますが、ゲーム・シナリオ的にはほとんど削っていませんし、むしろ大幅に増えています。ですから、シナリオ量の多いI ・II については2Dのこういった作りが合っていましたね。シナリオにおける制約はまったくと言っていいほどありませんでしたから。

竹田:アニメのシナリオはストップウォッチと電卓を使って秒単位で削りましたからね。とはいえ、楽できたのは量的に手加減する必要はないという、そこだけですけど(笑)。作業量的としては楽どころか……。

高橋:重ね重ね、申し訳ないです(苦笑)。

―――では、最後に一言ずつお願いします。

竹田:「I とII をやったからこれはやらなくていいや」というものにはなっていないと思います。移植というよりは、リメイクですから。同じテーマの作品を別の視点から改めて語り直した、と。

高橋:I とII を分けざるを得なかったことでどうしても出来てしまった齟齬が、1本にまとまったことできちんと解消されていますし、視点がブレずに通しで遊べますからね。新規の方も既にプレイ済みの方も、両方大いに楽しんで頂けると思います。

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