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リ・ロン

年齢

31歳

出身

明帝国 / 北京

身長

168cm

体重

55kg

生年月日

10月23日

血液型

B型

使用武器

両端に刃を設けた手製ヌンチャク×2

武器名

飛燕

流派

無双龍破

彼にとってはいつものこと、これまでに幾度となく繰り返してきた「剣士狩り」
と変わらぬはずだった。だが、廃墟と化したスペインの港町……そこで彼を待ち
受けていたのは、絶望という名の運命だったのである。
突然襲いかかって来た漆黒の鷹を打ち破った李龍だったが、その前に現われたの
は、双剣を構え、禍々しい気迫をまとった海賊船長と思しき服装の男だった。傲
然として立ちはだかるその男に、李龍は闘気の荒ぶるまま猛然と仕掛け……そし
て敗れたのである。
命からがら敗走した李龍。当然追って来て然るべきであった男は、どういうわ
けか彼を放っていずこかへ去った。
そして意識を失う寸前、背後を振り返った彼は、その残された片目でしっかりと
見た。天に昇り行く一筋の光の柱を……。
やがて意識を取り戻した李龍は、自らの身体が容易ならざる状態であることを知る。
傷は深く、癒えるまでには相当の時間がかかろう。そして身体に受けた傷以上に、精神に負った傷が彼を苦しめた。
得体の知れぬ虚無感が彼の意識を飲み込もうとする。わけの分からぬ恐怖に手が震える。
鉄壁を自負していた自信が揺らいだ。成すべきことと信じて来た自分の行いは、果たして正しいものであったのか? 自分でもそれと気付かぬうちに、恐るべき業を重ねていたのではないか? 彼が「狩り」続けた名も知らぬ者達に対して。
そして――あるいは千恵にさえも?
石垣の一角が崩れると、あとはもう取り留めがなかった。この世の何もかもが彼を責め立て、地獄の底へと引きずり込もうとしているように思える。ありもしない罪の意識が脳裏を焼く。いつしか彼は得物を手に握ることすら困難になっていた。
そう、彼は大切な何かを「喰われた」のであった。

彼の生活は一変した。
今まで難なく振り払ってきた火の粉……。日本から出向いて来たと思われる「忍び」と呼ばれる一団や、任務を逸脱した彼を仕留めるため故国から遣わされた刺客達が、今や差し迫った脅威として、影のように背後にぴったりと張り付いて来る。
次第に追い詰められ、落ち武者のように逃げ延びていく李龍。身元を隠し、服装を変え、昼日中を避けての旅。千恵の仇を追っていたはずの李龍は、いつの間にか逆に逃亡者の立場に立たされていたのだった……。

どのくらいの間、そんな生活が続いたろうか。その感覚さえ曖昧になってきた時のこと。
海峡に位置するこの街に逃げ込んだのは、東西を問わず様々な人間の集まるその活気を見込んでのことであった。だが、彼についた追っ手は容赦なくその手を伸ばして来る。もはやこれまでと観念した彼は、思いがけずある女に助けられたのである。
普段ならば気にも留めず、すぐさま立ち去るところだった。だが彼を引きとめたのはその女が見せた優しさではなく――そのちょっとした仕草、言葉を失った者だけが見せる、微妙な意思疎通を求めてのほんの小さな身振り手振りであった。
そう、いつもならば迷わず偽名を使っていたはずの彼が、この時は久しく使うことのなかった本当の名を告げていたのである。

女の勧めるまま、その住居に居着いた李龍だったが、平穏な生活が長く続かぬことは分かっていた。追っ手は残忍で執念深い。そして女を見るたびに思い出される千恵の面影が、絶えず罪の意識を伴って彼を揺さぶるのだ。
だが……この去りがたい気持ちはどこから来るのだろうか?
女は時折彼女のことをじっと悲しそうな目で見るこの異国の男に親切を尽くした。
弱き者として生きてきた彼女にとって、全てを失ったかのような李龍は、放っておけない存在だったのかもしれない。

しかし鈍色の空が天を覆うある日。ついに恐れていたものが姿を現した。彼らは戸口に立った女に何事かを告げたようだ。李龍に向けられた女の視線は何かを問うていたが、彼はあえてそれを無視すると、己の武具だけを身に付け、追っ手の前に立った。
震える手を抑え付けての戦いであった。以前の彼であれば、わずかにせよ遅れを取ることなどなかっただろう。苦難の末の勝利であった。だが、それ故に……
彼は思い出したのかもしれない。何かのために戦う術を。
騒ぎが収まったあと、その光景を目にした女は立ち尽くすばかりであった。
――構いはしない。元より立ち去ろうと決めていたのだから。もはや彼に語るべき言葉はなかった。
だが去り行こうとする彼に駆け寄り、その背にそっと触れた手は、何よりも雄弁にその心の内を伝えていた。

李龍はその日のうちに街を発った。
今の彼は知っている。復讐を成すことが救いとはならぬことを。生きろと言ってくれた者に応えるために、成さねばならぬことがあることを。
……まだ、あそこにある。彼の半身はあの忌むべき剣のもとに置き去りになったままなのだ。彼は今一度自分を取り戻さねばならないであろう。
だが彼はまだ知らぬ。彼の愛した娘が、その姿を今も追い求めていることを。そして彼の愛が成した結晶が今、まさに息づいていることを。
失われたものを取り戻し、そして全てを知り――かつて得られなかった安息を、彼が見出す日は来るのだろうか?

「ソウルキャリバーIII」
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