アスタロスにとって、今や邪教集団と大神官クンペトクーは、
目的を阻む障害に過ぎなかった。
己の生まれた邪神殿に舞い戻り、その神殿を完膚なきまで破壊したアスタロスは、クンペトクーをすんでのところで逃してしまう。
だが、彼の去り際の一言をきっかけに、自分にはモデルとなった人間が存在していたことを知る。「白い巨人」。己のモデルで
あるその者こそが、この地上においてもっとも大きな魂に違いない。
その魂を邪剣の生贄としてくれよう……。巨体の影が動き出した。
次の目標は定まったのだ。だが、アスタロスは気付いていない。
その思考の根底にある、作り物ではない、完全な存在になりたいという願望に……。 |